ジョージAロメロ監督の傑作「ZOMBIE(ゾンビ)」にはいくつものバージョンが存在します。
これはジョージAロメロ監督が最初に編集したもの、
プロデューサーだったダリオ・アルジェントが編集したもの、
日本公開時の編集したもの、ジョージAロメロ監督が編集したもの、
日本でのテレビ放送版などです。
製作時にはまだ無名だったジョージAロメロ監督では興行成績が不安視されたため、
多くのホラー映画を手掛けているダリオ・アルジェントが編集したものが
ヨーロッパやアジアで公開されたからです。
それぞれテイストが異なっており、当時の世相も反映されており、
全作品を網羅してこそ真の「ZOMBIE(ゾンビ)」ファンだとする声もあります。
映画「ZOMBIE(ゾンビ)」の各バージョンを解説します。
「ZOMBIE(ゾンビ)」ディレクターズカット版のあらすじ
ディレクターズカット版はアメリカ公開版を作る前の段階で、ジョージAロメロ監督がカンヌ国際映画祭に出品するために編集したバージョンです。
本編はアメリカ公開版よりも12分長い139分ですが、あらすじはオリジナルの米国公開版と大きくは変わりません。
人間たちのドラマ性をより描きたかったジョージAロメロ監督の思いが反映されて、
ショッピングセンターに逃げ延びるまでのシーンや、ショッピングセンター内での生活ぶり、
主人公たちの会話シーンなどが厚く描かれています。
撮影終了から3か月という短期間で仕上げたため、ジョージAロメロ監督自身も
「粗い編集となり不満足な仕上がり」と公言しています。
これほど複雑なVerが存在する映画があったか?#ゾンビ
米国公開版/ダリオアルジェント監修版/ディレクターズカット版/TV放送版…他。
我々が熱狂したディスク化されていない日本劇場公開版、これを「#ゾンビ日本初公開復元版」として11/29~公開。
正に、#伝説の発火点#ジョージ・A・ロメロ 監督 pic.twitter.com/muuAyQE5f0— babooi (@babooimovie) November 26, 2019
「ZOMBIE(ゾンビ)」米国公開版との違いは
「ZOMBIE(ゾンビ)」が米国で公開されたときには、
ジョージAロメロ監督が編集したオリジナル版が使われました。
ジョージAロメロ監督の特徴でもある重苦しい雰囲気が全編にあふれていて本編は127分です。
「ZOMBIE(ゾンビ)」には映画音楽で有名だった「ゴブリン」の楽曲が使われているのですが、
ジョージAロメロ監督が最初に手掛けた「アメリカ劇場公開版」においては、
ゴブリンの楽曲の使われ方は後のダリオ・アルジェント版よりも控えめとなっています。
主人公たちの生活の様子が多く描かれ、
ゾンビ世界での生き残った人間の虚無感が表現されています。

ジョージAロメロ監督は米国公開版がベストと言っているよ
「ZOMBIE(ゾンビ)」ダリオ・アルジェント版
製作費捻出のため、ヨーロッパ、極東アジアなで公開権をプロデューサーのダリオ・アルジェントに渡し、ダリオ・アルジェントの味付けで編集されたもので本編は119分です。
ジョージAロメロ監督が編集したアメリカ公開版より8分短くなっています。
全体のテイストとしてはアメリカ公開版よりもやや軽いテイストとなっており、
ゴブリンの楽曲も全編にわたって使われています。
9月7日は伊ホラーの帝王ダリオ・アルジェントの誕生日(1940)!!
執筆業や脚本家を経て69年『歓びの毒牙』を初監督し大ヒット!以降75年『サスペリア2』77年『サスペリア』等のメガヒット作や話題作を連発、また78年『ゾンビ』等プロデュース作も多数!#ダリオ・アルジェント生誕祭#今日は何の日 pic.twitter.com/xzArHFxdhE— Dylan Dog (@Dylan_Dog_0001) September 6, 2019
ジョージAロメロ監督が重苦しい表現だったのに対し、
ゴブリンの音楽が多用され8分短くなったことでテンポが生まれています。
同時にサバイバルアクション的な印象も受けます。
「ZOMBIE(ゾンビ)」日本公開版
「ZOMBIE(ゾンビ)」が日本で公開されたときはダリオ・アルジェント版をもとに
編集されています。
本編はダリオ・アルジェント版より4分短い115分です。
映画冒頭に惑星の爆発シーンと放射線が降り注いだことがゾンビ発生の原因と説明されています。
残虐シーンの静止画処理やモノクロ処理がされており、
当時の日本の客がまだ残虐シーンを受け入れられないと判断したのでしょうか。
1978年の『ゾンビ』日本公開時は、あの超こわいポスターや新聞広告等のせいで、とにかく怖くて残酷で汚らしくて悪意に満ちた、全編これイヤガラセみたいな「THE ゲテモノ映画」なイメージを否応なく植え付けられ、「こんな酷い映画、一生観るもんか」と心に決めていた当時小学生の私だったが… pic.twitter.com/fg1EJjctDI
— ロヂャー😜✌️ (@roger_demarco) December 14, 2018
日本映画公開当時のキャッチコピーが「決して一人では見ないでください・・」でした。
筆者も幼少時に映画の予告編をテレビで見てから、エレベーターの扉が開くときはいつも、
ゾンビがなだれ込んでくるのでは、
という恐怖を抱いてしまうようになってしまいました。
「ZOMBIE(ゾンビ)」その他のバージョン
- テレビ放送版 テレビ東京の木曜洋画劇場で2回放送されています。
それぞれ微妙に違っていて、日本公開版の冒頭の惑星爆発シーンも異なる内容となっていて、オリジナルの音楽を加えてハッピーエンド色の強い深作哲也版と、
音楽が日本公開版にあわされた河野基比古版(再放送版)があります。
木曜洋画劇場「ゾンビ」より。初「ゾンビ」は河野基比古解説のこのテレビ版。友人宅でソニーのベータテープで何度も鑑賞。河野基比古さんはアルジェントのプロフィールとゴブリンの曲について解説するがロメロについて言及していない。今年、日本公開40周年に向けてヘラルド再現版の発売が楽しみ! pic.twitter.com/QtjKwDpFPS
— クロケット (@crocket8314) January 9, 2019
2 ラフカット版 ダリオ・アルジェントに送られたラフ編集版 本編160分
3 ドイツ語ファイナルカット版 ダリオ・アルジェント版にディレクターズカット版を強引に加えたもの 本編156分

「ZOMBIE(ゾンビ)」が地上波で放送された・・テレビが元気な時代だ
「ZOMBIE(ゾンビ)」ディレクターズカット版とオリジナル版の違い まとめ
1 ジョージAロメロ監督は米国公開版がナンバー1と公言
2 ディレクターズカットは未公開版含め一番長い
3 ダリオ・アルジェント版は展開がスピーディー
4 日本公開版はグロシーンがカット
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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